郷里復活願う記念碑 双葉の中浜・中野地区、あずまやも新設

 
「復活」の碑文が入った記念碑と、建立したあずまやの前で記念撮影をした高倉さん(前列右から3人目)と出席者

 福島県双葉町の中浜、中野両地区の住民でつくる「浜野復活プロジェクト」は、同町の中野八幡神社の敷地内に記念碑と、あずまやを新設した。4日、現地で除幕式と完成披露式を行い、両地区の住民が郷里の復興・再生へ誓いを新たにした。

 両地区は、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた。震災後、町の産業団地や県復興祈念公園の整備地となり、住民が地元に戻って家を再建することはできなくなった。このため、2021年に再建された中野八幡神社が住民の心のよりどころとなっている。

 記念碑は御影石でできており、高さ約1.5メートル、幅約3メートル。碑名の「復活」はプロジェクトの依頼を受けた伊沢史朗町長が考えた。震災当時、両地区に住んでいた計49世帯の世帯主の名前も彫られた。同町出身の書家渡部翠峰(すいほう)さん(80)=埼玉県加須市=が揮毫(きごう)し「いずれまた、この地に人々が根を下ろすだろう。自然とともに生き生きと息づく姿を思い描き、復活を願う記念碑をここに建立する」などと建立の由緒を記した。

 あずまやは、人々の集いの場となることを願い、神社の参拝者や公園に立ち寄った人たちが一息つく場として建てた。

 式典には約20人が出席した。舘下明夫町教育長、渡部さんらが祝辞を述べた。プロジェクトの一員で、両地区が入る浜野行政区長の高倉伊助さん(67)は「地域の心のよりどころとして末永く大切にしていきたい」と話した。