双葉南小、震災伝える施設に 双葉北小は民間利活用、校舎保存へ
双葉町は、双葉南小と双葉北小の校舎を解体せずに保存して活用する方針を固めた。双葉南小は原子力災害の過酷さを伝えるアーカイブ施設とする案を軸とし、双葉北小は民間が利活用する方向で検討を進める。6日の町議会全員協議会で町が方針を示した。
両校の校舎は昨年8月に避難指示解除された町中心部の特定復興再生拠点区域(復興拠点)にある。町は避難指示解除から1年以内に解体申請し、全額国費で解体するかどうかの判断を迫られていた。
校舎は改修せずに残し、体育館などの付帯施設は解体する考えだ。このうち双葉南小の教室は、今も児童のランドセルや資料が残るなど被災当時の様子が分かる。町は震災遺構のように一般開放する形ではなく、町職員の案内で校舎内を視察できるようにする方針だ。
復興拠点内は、両校のほかにも現在使われていない公共施設が多く残っている。双葉中の校舎は解体する方針で、跡地については新しい教育施設の候補地とする考え。町内での学校再開に向けて議論している学校設置検討委員会の意見を踏まえ判断する見通しだ。
学校給食センター、ふたば幼稚園、図書館、歴史民俗資料館なども解体する方針。このうち図書館の跡地には社会教育施設の整備を検討していく。町は13日に開会する町議会6月定例会に公共施設の利活用に関する関連議案を提出する。
伊沢史朗町長は双葉南小について「広島の原爆ドームのように、大災害の記憶を後世に残さないといけない。費用対効果や経費だけで考えてはいけない。多くの皆さんに原子力災害の過酷さを見てもらう施設にしたい」と話した。
双葉南小、双葉北小、双葉中、町立幼稚園は2014年4月から、いわき市に整備した仮設校舎や園舎で教育活動を続けている。
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