双葉町民に新たな「結び」 交流、地域再生へ初の団体

 

 双葉町に帰還、移住した住民有志らが23日、コミュニティー組織「双葉町結ぶ会」を設立した。町は昨年8月にJR双葉駅周辺の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が解除されたが、町内に住む人々をつなぐ団体はなかった。設立総会で共同代表に就任した町出身の谷津田陽一さん(72)は「住民が健康で安心して暮らせるような土台になればいい」と語った。

 町は東京電力福島第1原発事故で最も長く全町避難が続き、町内には帰還者や移住者ら約90人が住んでいる。住民は双葉駅西口の公営住宅「駅西住宅」か、それぞれの自宅やアパートなどで暮らす。最初は相互の交流は少なかったが、町内での福島医大のボランティア活動や、駅西住宅で開かれた集会などを通じて人のつながりができ始めた。

 やがて、近くに住む住民同士で助け合いのネットワークをつくろうとする機運が高まり、約40人が参加する会の設立に至った。設立総会では共同代表の谷津田さんと、大島遊亀慶(ゆきよし)さん(68)=福島市出身、駅西住宅在住=が「みんなで協力し合い、健康に生活ができ、より住みやすく、安全で、安心なまちを実現する」と設立宣言を読み上げた。

 会は夏祭りや芋煮会、環境美化活動などを通じて町内の住民の絆を強めていく方針だ。大島さんは「交流を通じて自分たちが変われば、生活環境も変わっていくと思う。できない理由ではなく、できる理由を考えて積極的に行動したい」と語る。埼玉県出身で駅西住宅に移り住んだ副代表の島美紀さん(51)は「双葉にないものは多いけれど、それを埋める都会では希薄になった温かいつながりがある」と述べ、会の活動が帰還や移住の促進につながることを願った。