浪江で小児医療が再開 医師着任、遠隔診療にも対応

 
小児科医として浪江診療所に着任した先崎さん

 浪江町は19日、東日本大震災から12年半ぶりに町内で小児医療を再開した。郡山市出身で埼玉県川越市の小児科医、先崎秀明さん(60)が町営の浪江診療所に着任した。先崎さんは「浪江の子どもたちの主治医として、健やかな成長をサポートしていきたい」と抱負を語った。

 町によると、震災前の町では民間の医療機関が小児医療を担っていたが、東京電力福島第1原発事故による全町避難に伴い、再開の見通しが立っていなかった。

 2018年4月に町内で教育が再開し、認定こども園や小中学校が開園、開校した。子どもの数は徐々に回復し、今春には中学生以下の子どもの数が100人を超えた。保護者らからは、小児医療の再開を望む声が町に寄せられていた。先崎さんは日本医療科学大(埼玉県)小児地域総合医療学特任教授を務めるほか、発達障害や不登校の子どもらの福祉や教育事業なども専門的に手がける。

 震災後は復興支援の一環でいわき、相馬両市で小児医療に携わっている。今回も被災地の力になろうと、浪江町長宛てに手紙を書いて志願した。

 浪江診療所での勤務は月1回となるが、遠隔診療で急性期医療に対応する方針。子育て支援に関する教室なども開き、町民との信頼関係を築いていく考えだ。

 先崎さんと面会した吉田栄光町長は「浪江の医療環境の充実がさらに一歩前進した。遠隔医療は、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な双葉郡のモデルにもなる」と期待を寄せた。

 浪江町の医療を巡っては、震災後初の調剤薬局が10月2日に開局する予定で、医療環境の改善が進んでいる。