「なりわい集落」基本理念...双葉町民が開拓者!まちづくり参加

東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域に設置された特定復興再生拠点区域(復興拠点)の一部が先行解除され、双葉町は4日で半年となる。双葉町は避難指示解除準備区域の解除と復興拠点全域の立ち入り規制緩和を行った。震災と原発事故からあと半年ほどで丸10年。先行解除後の町の現状や復興への課題を追った。
2022年春を目標とする町民の帰還開始に向け、双葉町は、JR双葉駅のすぐ西側に整備する居住エリアの設計を進めている。「標葉(しねは)の谷戸に抱かれた フロンティア(開拓者)と共に育む なりわい集落」が基本理念で、設計の具体化には町民も参加している。
町によると、基本理念の「フロンティア(開拓者)」は町民や新規転入者らを指し、「なりわい集落」は仕事に限らず、趣味や生きがいなど幅広い人の営みをそれぞれイメージしているという。
居住エリアの検討イメージは同町の原風景を連想させる緑豊かな谷間に、帰還者や新規転入者向けの長屋や戸建ての住宅などが並ぶ。電柱は地中化し、集会所や診療所なども整備する計画だ。
長屋住宅の整備には、住民が孤立することなく、見守り、見守られる関係を築きやすくする狙いがある。また、住民らのコミュニケーションを生み出すため、土間に似た空間を各戸に設けることを検討している。
設計の具体化に当たり、町は6月20日と今月2日に座談会を開催した。町によると、高校生から高齢者まで町民ら延べ約40人が参加、「自然と共存したまちづくりを」「開放的なまちがいい」などの意見を寄せた。
一方、「高齢者も考えた住宅となっているのか」「騒音やプライバシーの問題はないか」「買い物に行くための道路の整備を」などといった課題、要望もあったという。
町は今後も3回ほど座談会を開催する予定で、担当者は「新たなまちづくりには、町民の参加が必要。町が計画して町民の了解を得るという形ではなく、町民と一緒にまちをつくっていきたい」としている。
双葉駅西側地区には、県が災害公営住宅32戸と就業などで新規転入する住民向け住宅56戸の計88戸を代行整備する。21年度に着工する見通し。
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