休耕田で10年ぶり「稲刈り」 田村・都路、農業復興へ思い新た

収穫機を使って行われた稲刈り。左は飼料にするための包装マシン=11日午前、田村市都路町古道
東京電力福島第1原発事故による避難の影響で耕作放棄地となっていた田村市都路町古道の水田で11日、約10年ぶりに稲刈りが行われた。イネは地元で家畜の飼料に使われる。関係者が農地の復活を喜び、地域農業復興の思いを新たにした。
収穫作業をしたのは同市都路町の肉用牛農家5戸でつくる「MKFカンパニー」のメンバー。休耕田となっていた約6ヘクタールの土地は、一部が福島第1原発の20キロ圏内。
11戸の農家が所有していたが、地区外に避難しているため遊休農地となっていた。同団体が有休農地を集約し、今春から管理耕作している。同団体は2013(平成25)年に設立、牛用の稲発酵粗飼料(稲WCS=ホールクロップサイレージ)を生産、飼料自給率向上を目指している。今年の作付面積は休耕田だった場所を含む約45ヘクタール。都路地区全体の作付面積の約2割を占める。
県の営農再開支援事業補助金を活用し、収穫機と包装マシンを導入した。水田周辺で同日、機械稼働式が行われ、県や市、農機具メーカー関係者らが収穫作業を見守った。
同団体代表の冨樫喜重郎さん(69)は「震災を機に離農する人も多く、田んぼ一面が草だらけになっていたが、農地として復活する様子を見ることができてうれしい。(MKFカンパニーには)若手農家もいるので心強いと思って頑張りたい」と力を込めた。
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