伝承館『未曽有の複合災害』追体験 壁面に「原発事故の混乱」

 
開館した県の施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」の展示に見入る来館者

 20日に開館した東日本大震災・原子力災害伝承館は、大型スクリーンが並ぶ導入のプロローグシアターをはじめ「災害の始まり」「原子力発電所事故直後の対応」「県民の想(おも)い」「長期化する原子力災害の影響」「復興への挑戦」―の計六つのゾーンで構成。震災、原発事故の時系列に沿って未曽有の複合災害を追体験できる仕組みとした。

 事故直後の対応ゾーンでは、壁面の大型画面に「原発避難の1週間」と題した映像を映し出し、事故直後の混乱を浮き彫りとする。復興への挑戦ゾーンでは、浜通りに新産業の集積を目指す福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想や東京電力福島第1原発廃炉の進展具合を紹介している。

 施設には研修機能も備え、復興の歩みを発信する本県独自の旅行企画「ホープツーリズム」の受け入れにもつなげる。

 伝承館は当初、東京五輪・パラリンピックの開催に合わせて今夏の開館を見込んでいた。新型コロナウイルス感染拡大に伴って展示物の制作が遅れ、開館が秋にずれ込んだ。

 上級研究員に開沼氏ら3人

 伝承館では、立命館大衣笠総合研究機構の開沼博准教授(いわき市出身)、東大大学院情報学環総合防災情報研究センターの関谷直也准教授、福井大付属国際原子力工学研究所原子力防災・危機管理部門の安田仲宏教授の3氏が上級研究員(非常勤)を務める。

 複合災害の知見を後世に継承するための調査、研究を行う。