県内の語り部、進む高齢化 伝承館では登録者の8割が60~70代

 

 東日本大震災の記憶の風化とともに重要性が増す語り部だが、震災から9年余となり、県内では高齢化が進む。双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館によると、同館の語り部の登録者29人のうち、約8割が60~70代。小林孝副館長(50)は「高齢化が進み、若い世代の担い手が不足している。記録と記憶を後世に残すため、人材確保や記録の保存方法の工夫が必要」と語る。震災の伝承活動などを行う宮城県の民間団体「3・11メモリアルネットワーク」は10月末、本県などの語り部や団体を対象にした交流会を、富岡町で初めて開いた。語り部一人一人の知識や悩みを共有し、継続的な活動につなげるためだ。

 同団体の理事里見喜生さん(52)=いわき市=は「知識などを共有することで活動の幅も広がる。語り部のモデルケースを示し、関心のある若い世代も参加しやすい集いにしたい」と話す。