富岡の事務所で9年8カ月ぶり「業務再開」 双葉地方森林組合

 
古里で業務を再開した職員ら

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い三春町に移転していた双葉地方森林組合は4日、富岡町小良ケ浜の本来の事務所で約9年8カ月ぶりに業務を再開した。古里に再び根を張り、管轄する双葉郡の森林再生を加速させる。

 「双葉郡の中心に腰を据え、森林再生に本格的に取り組む環境が整った」。秋元公夫組合長(72)=川内村=は事務所を戻した意義を語った。

 組合は今後、主に森林整備と放射性物質対策を一体的に進める「ふくしま森林再生事業」に取り組む。宅地周辺の木の伐採など住民の帰還を後押しする活動も進める方針で、富岡町を拠点とすることで住民の要望に迅速に対応できるという。

 今後は森林再生に向けた人材の確保が課題となる。組合によると、震災前は現場で間伐作業などを行う林業従事者が100人ほどいたが、現在も避難で散り散りになったままという。秋元組合長は「組合だけの力で双葉郡の森林再生を進めるには限界がある。近隣自治体の森林組合と連携するなどして難局を乗り越えたい」と力を込めた。

 組合は原発事故を受け、2011(平成23)年4月に避難先の田村市で業務を再開。14年6月に三春町にプレハブの仮事務所を構えた。富岡町の事務所は帰還困難区域のうち、人が再び住めるよう整備される特定復興再生拠点区域(復興拠点)に含まれ、今年6月までに除染が完了。建物の修繕を進め、再び利用できるようになった。