10年ぶり復活!富岡・王塚の『伝統神楽』 神社再建「若い世代へ」

 
約10年ぶりに復活した伝統の神楽

 富岡町王塚地区に半世紀にわたり受け継がれてきた伝統の神楽が29日、東日本大震災と、東京電力福島第1原発事故から約10年ぶりに復活した。震災で被災した同地区の王塚神社の再建工事が完了したのに合わせ、氏子たちが新しい社殿の前で勇壮な舞を奉納した。

 神楽は、豊作や子どもの健やかな成長を願い、氏子たちが神社の春と秋の祭礼で奉納してきた。2011(平成23)年元旦に奉納して以降、震災と原発事故に伴う避難で氏子たちは散り散りとなり、伝統が一時途絶えた。

 17年4月の避難指示解除後、氏子たちは住民の心のよりどころとなっていた神社の再建を進めるとともに、神楽の復活を決意。10月から練習を重ねてきた。

 社殿前では、町民ら約80人が見守る中、氏子8人が約10年ぶりに神楽を披露した。獅子をかぶり、舞を担当した渡辺伸さん(60)は「心を一つに舞うことができた。集まった多くの町民の姿を見て、神楽の大切さを改めて実感した。若い世代に引き継いでいきたい」と話した。