福島県「追悼行事」...大幅縮小せず 21年3月、節目の10年重視

 

 県は来年3月に予定する県主催の東日本大震災追悼復興祈念行事について、新型コロナウイルス感染防止対策を前提に大規模な縮小を行わない方向で検討に入った。発災から丸10年の節目を重視し、今年5人に絞った祈念式の参列者を増やす方針。中止としたキャンドルナイトや県民シンポジウムも開催に向けて調整しており、復興の現状を広く発信できるような在り方を目指す。

 今年の祈念行事について県は、新型コロナを受け急きょ縮小した経緯がある。ただ、来年は丸10年に合わせて今年よりも開催規模を拡大したい考えで、来年1月中にも内容や参集範囲などを示す方針だ。

 祈念式は来年3月11日午後2時30分~同3時50分に、福島市のとうほう・みんなの文化センターで予定。今年は参列者を知事、県議会議長、県市長会副会長、県町村会長、遺族代表の5人に絞ったが、来年は大使館や国、企業の関係者、国会議員、県議など例年の参列状況を踏まえつつ、座席間隔を空けるなど感染防止対策を取った上で増員を検討。今年見送った高校生による献唱の再開など、式典の内容も検討する。復興への光をともすキャンドルナイトについては、3月11日午後5時30分~同7時30分に、福島市のJR福島駅東口駅前広場で開くことを想定。復興を考える県民シンポジウムについては3月中の開催で調整しており、場所や登壇者、オンライン配信など具体的な内容を詰める。

 新型コロナの感染発覚以降、マスク着用や消毒、人と人の間隔を空けるなど感染対策のノウハウは蓄積されつつある。県は今年中止となった祈念行事や式典について、適切な対策を施せば感染リスクを低減できる部分があるとみる。このため県内外の感染状況を踏まえ、「震災10年」と「感染防止」という二つの観点を考慮し、より良い手法を確立していく方針だ。