震災時は小学生...「福島の発信続ける」県内の高校生ら思い発表

 
震災から10年を前に決意を語る高校生

 県内の高校生が、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年を迎える本県の現状などを発表する「ナラティブ・プレゼンテーション」は13日、郡山市で開かれた。生徒たちはそれぞれの震災からの経験を振り返り「自分たちが福島のことを発信し続けていく」と決意を示した。

 県環境創造センターの主催。震災時小学生だった現在の高校生たちがこれまで感じてきた思いを形にすることで、本県復興の姿や課題を県内外に発信する狙い。公募で選ばれた22人が約半年間にわたり、講座などで本県の現状や効果的な伝え方を学んできた。

 ふたば未来学園高の生徒(1年)は同校生に行ったアンケートで、36%が原発事故に伴う差別やいじめ、偏見を感じたと答えたことを紹介。自身の経験も踏まえ「無知や無関心は差別につながる。双葉郡や震災、原発のことをもっと知り、発信し続けたい」と話した。葵高の生徒(1年)は震災後の本県に関し、避難者の人数やコメの生産高などで実情と自身の認識とに違いがあったことを説明。情報が氾濫する中、誤った情報をうのみにしてしまうことの危険性を指摘し「先入観をなくし、その情報は正しいのか、証拠があるのかを考えるべきだ」と訴えた。

 イベントには、立命館大准教授の開沼博氏や福島市在住の詩人和合亮一氏、教育評論家の尾木直樹氏らも参加。尾木氏は「福島の高校生は生き抜く知恵を授けてくれるフロントランナー。福島の高校生だからこそできることがある」と述べた。事業に取り組む参加者の様子は今後、ドキュメンタリー番組として、県内外のテレビ局で放映される予定。