帰ってきた!双葉10年ぶり...巨大ダルマ引き 古里の伝統つなぐ

 
双葉町内で10年ぶりに巨大ダルマを引き合う消防団員ら=9日午前

 東京電力福島第1原発事故に伴う全町避難が続く双葉町で9日、縁起物「双葉ダルマ」を販売する催しが事故後初めて開かれた。名物イベント「巨大ダルマ引き」も行われ、無病息災や家内安全を願い巨大ダルマを引き合う光景が10年ぶりに町内に帰ってきた。

 新型コロナウイルス感染症の影響で中止になった伝統行事「双葉ダルマ市」に代わり、古里の伝統を後世につなごうと、昨年3月に避難指示が先行解除された同町中野地区の町産業交流センターで開かれた。

 会場では手指消毒や検温などの対策が取られた。訪れた町民らは、復興や1年の多幸などを願って双葉ダルマを買い求めた。

 巨大ダルマ引きは東が勝てば家内安全と商売繁盛、西が勝てば無病息災と身体健固の1年になるとして行われ、販売会に協力する町消防団第2分団員らが綱を引き合った。3本勝負の結果、2勝1敗で西に軍配が上がった。

 原発事故前までダルマ市は、中野地区から西に離れたJR双葉駅近くの長塚商店街通りで開かれていた。ダルマ市に長年携わり、販売会を企画した団員の福田一治さん(49)は「長塚で開いているような雰囲気を少し感じられた。新しいまちづくりが進められているが、季節を感じる伝統をつなげていきたい」と語った。