甲状腺検査、学校に負担感 福島県、医大と協議し軽減策検討へ

 

 県内全ての子どもを対象とした甲状腺検査を巡り、検査会場となっている学校の多くが業務への負担を感じていることが県の調査で分かった。児童・生徒数が多いほど確認などの業務量が増える傾向にあり、県は福島医大と協議し、学校の負担軽減策を検討する方針。15日に福島市で開かれた原発事故の健康影響を調べる「県民健康調査」検討委員会で示した。

 県は、小学校などで行われている学校検査の状況把握のため、教諭らへの聞き取り調査を実施。その結果、検査の同意書未提出者に対して、学校側が提出を求めるなど個別で対応に当たる事例があり、教諭らの負担につながったとみられる。

 学校検査を巡り、委員からは、対象者への説明と同意が不十分で、「半強制的」との指摘がある。一方、「学校検査について、保護者がどう受け止めていると思うか」との質問に対しては「保護者から特に意見はない」「検査が当たり前と考えていると思う」との回答が目立ち、検査の目的や必要性が認識されていないまま検査が行われている可能性も浮き彫りになった。

 県は、本年度中にも保護者や検査対象の子どもらに意見や考えを聞く方針。

 調査は昨年9~12月に小学校12校、中学校9校、高校4校、義務教育学校1校の計26校で実施。うち3校は検査現場の視察も行った。

 外部被ばく「影響認められない」

 福島医大は検討委で、県民健康調査「基本調査」(2011~19年度)の結果を公表した。原発事故後4カ月間の外部被ばく線量について「健康影響が認められるレベルではないと考えられる」と総括した。検討委は16年3月の県民健康調査中間とりまとめでも、線量推計に関して、99.8%が事故後4カ月間の外部被ばく線量が5ミリシーベルト未満だったとしており、見解を維持した。