震災記憶触れる16点 いわきの現代美術家・吉田さん個展

 
震災をテーマに開いている個展の会場

 いわき市の現代美術家吉田重信さん(62)の個展「分水霊2021」は16日、同市平のアートスペースエリコーナで始まった。吉田さんは「東日本大震災から10年の節目に振り返り、作品と対話してほしい」と話している。28日まで。

 吉田さんの代表作「分水霊」は分水嶺(れい)から由来し、魂の分岐点を意味して名付けた。赤い漆で布を染めた横2メートル70センチ、縦6メートルの立体作品に震災で残った傷や怒り、悲しみを表現した。また、絵画などで抽象的に表現した震災の記憶に触れる16点が並んでいる。

 作品を見に訪れた同市の男性(72)は「祈りの思いを感じた。命について考え直す機会になった」と作品に見入っていた。時間は午前10時30分~午後5時(最終日は同4時)。入場無料。22日は休館。問い合わせは同ギャラリー(電話0246・24・0004)へ。