未来へ気持ち一つに「希望の鐘」 福島で鎮魂・追悼祈念イベント

 
「希望の鐘」を鳴らす女子児童

 東日本大震災と原発事故から丸10年を前に、福島市主催の鎮魂・追悼祈念イベントが7日、同市で開かれた。2011(平成23)年3月11日に生まれた福島三小4年の女子児童(9)=福島市=が「希望の鐘」を鳴らし、出席者が復興やその先の未来に向けて気持ちを一つにした。

 女子児童は震災発生から約40分後に誕生。母親(43)は市内の病院で陣痛が始まっていたが、院内は危険と判断され、駐車場の車内で出産を迎えたという。成長したわが子の姿を見守った母親は「元気に育ってくれて良かった。自分らしく生きてほしい」と願った。

 イベントでは、木幡浩市長が「教訓を生かし、『福島』の名を冠する県都の責務として県全体の発展に貢献したい」と述べた。詩人の和合亮一さんが自作の詩「夜明けに」を朗読、ソプラノ歌手阿部絵美子さんが「長崎の鐘」を独唱した。

 トークイベントも開かれ、和合さん、エアレース・パイロット室屋義秀さん、ダンサー・振付師Ruuさん、桜の聖母短大の西内みなみ学長が震災時の体験を振り返った。Ruuさんは「福島で育ち、震災を経験したからこそ強く生きられる。当たり前ではない毎日に感謝したい」と話した。