野口聡一さん、宇宙から発信!震災10年、復興支援「恩返しを」

 
福田小の児童が縫った横断幕を背に、野口さんがメッセージを読み上げる動画の一場面((C)一般財団法人ワンアース)

 震災10年に合わせ、復興支援への感謝のメッセージを宇宙から世界に発信する動画が11日午前0時、動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開された。宇宙飛行士の野口聡一さんが、福田小(川俣町)の児童が縫った横断幕が掲げられた国際宇宙ステーション内で「復興10年。これからは、私たちが世界に恩返しをする番です」と、世界に向けてメッセージを読み上げた。

 復興支援に取り組む一般財団法人「ワンアース」(茨城県)や本県などの被災市町村で構成する実行委員会が進めてきた「東北復興宇宙ミッション」の一環。野口さんが読み上げたメッセージは、被災地から寄せられた500通以上のメッセージを、東北の大学生のチームが分析、集約し作り上げた。

 横断幕は長さが7メートルあり、県内の市町村など被災地各地の画像が掲載されている。昨年、福田小6年の児童が縫い、今年2月21日に国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられた。

 動画の収録は2月25日に行われた。13分30秒にわたる動画で、野口さんがメッセージを読み上げる様子のほか、野口さんが横断幕を撮影しながら紹介する様子、無重力の中で横断幕を壁に丁寧に広げていく作業の様子などを公開している。このほか、福島民友新聞社などが提供したこの10年を紹介する写真なども登場する。

 ワンアースのホームページに動画へのリンクが掲載される予定。

 【野口さんが読み上げたメッセージ】
 皆さん、こんにちは。宇宙飛行士の野口聡一です。東日本大震災から10年という節目に当たり、東北市民から世界の皆さまに向けたメッセージを伝えさせていただきます。あの日、自然の圧倒的な力の前に、私たちの生活はいとも簡単に崩れ去りました。当たり前の日常が、どんなにありがたかったか、それは、失って初めて分かりました。そんな絶望の日々の中で、世界の皆さんから届けられた支援の手はまさに私たちの光でした。誰もが誰かに支えられていること、ひとりで生きているわけではない、ということを強く感じました。今この瞬間にも、人類は新型コロナウイルスという新たな脅威と闘っています。どんなに国や社会が分断されようとも、私たちは確かに地球という一つの星の上でつながっています。私たちは、ここで生きていきます。そうして笑顔あふれる未来を紡ぐことができるのは、支援してくれた世界中の皆さんのおかげです。復興10年。これからは、私たちが世界に恩返しをする番です。新たな決意をかみしめて、宇宙から感謝の言葉を送ります。世界の皆さん、ありがとうございます。