「原子力災害考証館」開館 いわき・古滝屋、被災現場再現など

 
原発事故に関するさまざまな資料が展示されている会場

 いわき市の旅館「いわき湯本温泉古滝屋」で12日、東京電力福島第1原発事故を住民目線で考える「原子力災害考証館 furusato」が開館した。震災から10年を迎え、来場者が原発事故の影響や教訓に理解を深めている。

 会場では、東日本大震災による津波で行方不明になり、5年9カ月後の2016(平成28)年12月にがれきの中から見つかった大熊町の熊小1年生、女子児童=当時(7)=の遺品を展示。ランドセルや帽子などががれきに埋もれた様子を再現している。

 壁面には、当時の捜索活動を撮影した特大サイズの写真を掲げている。また、原発事故後の浪江町の街並みを写したパノラマ写真のほか、原発事故に関連する雑誌や裁判の資料、新聞の紙面などを紹介している。会場を訪れた沖村民雄さん(72)は「原発事故により暮らしを奪われた人の思いを胸に生きたい」と話した。

 今後、同館は原発事故に関する資料を収集するほか、意見交換会や双葉郡を中心としたツアーも構想している。開館は午前10時~午後4時。入館無料。問い合わせは同旅館(電話0246・43・2191)へ。