【新春座談会(1)】 あすを語る新春座談会 震災5年目、本格復興へ

 
浪江小児童が授業で作った「30年後の浪江町」のジオラマを前に(右から)潮田さん、小泉政務官、内堀知事、五阿弥社長

 福島民友新聞社は新年に当たり、内堀雅雄知事や、今春開校の中高一貫校「ふたば未来学園高」を「ふたばの教育復興応援団」として支援する小泉進次郎復興大臣政務官とバドミントン元五輪代表の潮田玲子さんを迎え、福島民友新聞社の五阿弥宏安社長とともに新春座談会を開いた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から5年目に入る年に、内堀知事は復興を進めるため挑戦する姿勢を発信し、「定住・二地域居住」などに力を注ぐ考えを示した。小泉氏は本県が地方創生のモデル県になれる可能性を指摘、潮田さんは2020(平成32)年東京五輪を夢に抱いて子どもたちが成長していくことに期待感を示した。

 【内堀知事】 挑戦する姿勢を発信
 【小泉政務官】 地方創生モデル県に
 【潮田さん】  五輪で子どもに夢を
 

 内堀知事は、今年を「挑戦」と「共感」を大事にする年と位置付け、震災の風化が進む中で多くの情報を国内外に発信、共感を得てもらうことが支援に欠かせないことを指摘した。
 施策の具体例に挙げた定住・二地域居住は、県外の人が本県に移住したり、県外の自宅と本県を行き来して都市と田舎の暮らしを楽しむ。内堀知事は「もともとの県の施策にもう一度、正面から向き合い、多くの人に本県への関心を持ってもらう。今年は再スタートの年になる」と述べた。

 内堀知事はまた、本県の復興支援のため来県する人の窓口となる「よろず相談係」(コンシェルジュ)の必要性を説明。小泉政務官も同調し、「民間の企業とかNPOとか、さまざまな人が支援に訪れたときに、どこに尋ねればいいのか分からないという話が被災地で起きている」と指摘、「福島は東京の(本県アンテナショップの)ミデッテを窓口にしたらどうか」と活用策を提案した。

 小泉政務官は地方創生の担当としても発言。原発に依存していた県が「県内全基廃炉」を成し遂げて新たな産業を生み出し、人口が減少しても活力のある県になることで「全国の原発立地自治体にとって新たな選択肢となる」として地方創生のモデル像を提言した。

 各氏からは開催まであと5年となった東京五輪・パラリンピックが本県の復興にもつながるとの期待感が示された。内堀知事は五輪関係の事業誘致に意欲を示し、小泉政務官は子どもたちが聖火リレー参加を目標にして運動に励めるような形を提案した。

 五輪出場経験を持つ潮田さんは「東京だけでなく、選手たちは早めに入ってキャンプで調整する」「他の地域にない施設があれば、海外の選手が『そこで練習したい』と福島県に入る。それは子どもたちのためにもなる」と夢を描いた。