女性の経済的活躍が重要 国際女性会議、パネル討論実り多く

 

 二本松市のサテライト会場で3日行われた国際女性会議「WAW!(ワウ!)」のパネル討論では、男性だけでなく女性にも「女性活躍の意義を周知する必要がある」などの意見が上がった。

 農家と消費者、地域のコミュニケーション促進に取り組むスタルジンスカヤ・ナスタッシャさんは、女性の経済的活躍が本県経済にとって重要だと男性に理解してもらうだけでなく、女性にも女性活躍の意義を伝える必要があると強調。「昔からある役割、生き方と違うものがあることを女性に見せなければならない」と述べた。

 女性活躍社会の実現に向け、マクマイケル・ウィリアムさんは「女性の活躍が(福島県にとって)どれだけメリットがあるのか、教育の場で教えていかなくてはいけない」と、若年層への働きかけの大切さを訴えた。佐藤輝明さんは「ジェンダー(社会的性差)平等を推進する企業の成長率の高さを職場で示しながら理解を促したい」と語った。

 また佐藤春奈さんはジェンダー平等実現のための職場での取り組みを紹介。平野典子さんは看護師として働く女性が仕事を続けるために定年退職した看護師を活用することを提案した。

 前川直哉さんは総括で「われわれは切迫した状況にある。皆が不幸になることを避けるためには、女性が活躍できる社会の実現が欠かせない。女性の声を聞いていくことが、私たちのすべきことだ」と述べた。

 聴講した会社員桑原悦子さん(53)=二本松市=は「男女の育児休業が当たり前の時代になった。自分たちが率先して新たな時代に合わせた環境づくりをしなければならない」と感想を語り、パート従業員菅野恵美子さん(73)=同=は「働き方が多様化している中で、たくさんの選択肢があるということを若い世代に伝えていきたい」と話した。

二本松会場のパネリスト
平野典子さん(仁泉会統括看護部長)
佐藤春奈さん(北福島医療センター看護師長)
スタルジンスカヤ・ナスタッシャさん(川俣町地域おこし協力隊)
佐藤輝明さん(福島トヨペット組織開発担当課長)
マクマイケル・ウィリアムさん(福島大准教授・国際交流センター副センター長)
司会役=前川直哉さん(福島大准教授)

 生き生き働ける環境整備を 平野典子さん

 女性が看護師として働く上で一番大切なのは保育園の充実だ。社会が変わってほとんどが核家族となる中で、看護師が生き生きとやる気を持って働ける環境を整備しなければならない。保育園に子どもを受け入れてもらえないなど働きたくても働けない環境をつくってはいけない。定年を迎えた看護師で働ける人は多くいる。そういった方々を適切に配置して支援することで、充実した職場環境をつくり上げることができる。

 キャリア相談の環境づくり 佐藤春奈さん

 子育て世代の働く環境が整備されていないと、看護師として働きたくても続けることができない。キャリアアップを考えた時があったが幼い子どもがいたため断念した。仕事を続けていくには、子どもを預けられる託児所の整備など、看護職員を支援することが重要になってくる。看護師としての夢や目標をかなえられるよう、キャリアについて相談できる環境づくりを進める。誇りを持って働く姿を子どもに見せたい。

 女性の役割の重要さを痛感 スタルジンスカヤ・ナスタッシャさん

 福島での生活を通して農業やイベント管理などで女性の役割が重要になっていることを痛感した。福島の人口統計をみると、15~64歳の約48%が女性だ。女性の経済的な活躍がなければ福島の経済は回らない。女性活躍の大切さを理解してもらう必要がある。昔とは違った生き方があるということを女性に見せていかなければならない。それぞれに合った生き方をすることで経済的にも良い結果につながっていくと思う。

 育児家事は家族で助け合う 佐藤輝明さん

 自動車ディーラーというと男性のイメージが強いが女性スタッフも増えてきている。女性だから異動が制限されたり、男性だから異動が優先されたりすることがないようにしている。育児家事は女性一人ではできない。家族で助け合わなければならない。子どもが熱を出した時、会社で柔軟な対応を取ることで、より働きやすくなる。ジェンダー平等と多様性に理解を深め、積極的に女性活躍を考える場を企業でつくってほしい。

 男女で助け合うことが必要 マクマイケル・ウィリアムさん

 女性がもっと社会で平等に活躍できる場所をつくることは必須だ。少子高齢化が進む中、福島でも転出につながってしまう可能性がある。女性の活躍を応援することが、どれだけ福島にメリットになるのかを教育の場で教えていかなければならない。ジェンダーの主流化をきちんと浸透させるには、男女で助け合うことが必要になる。それぞれの価値観を持ちながら、困った時に助け合える、そんな社会になってほしい。

 女性の声多く聞くこと必要 前川直哉さん

 男性がどう当事者意識を持つのかがとても大切になる。女性のことは女性に聞かないと分からない。男性が、女性からきちんと学ぶ姿勢をどう広げていくかが重要になってくる。女性が活躍し、輝くことは社会全体の発展に欠かせない。命や健康の問題につながったりする。女性が活躍する社会は、みんなが暮らしやすい社会だ。不自由な社会になるのを避けるため、女性の声を一つでも多く聞いていくことが必要だ。