女性議員「ゼロ」18町村、「1人」20市町村 福島県内議会

 

 都道府県と市区町村の全1788地方議会のうち、女性議員がいない「女性ゼロ議会」が2022年11月1日時点で257あり、全体の14.3%を占めることが4日、共同通信の調査で分かった。女性が1人しかいない議会は437で、両者を合わせると38.8%に上る。全在職議員の女性割合は15.4%、現職議長が女性の議会はわずか4.2%だった。

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 調査時点で福島県内の女性ゼロ議会は、国見、檜枝岐、只見、柳津、三島、昭和、中島、矢吹、塙、鮫川、浅川、古殿、楢葉、双葉、浪江、葛尾、新地、飯舘の18町村。県を含む全60議会のうち女性ゼロの割合は30.0%で、全国で3番目に高かった。女性が1人の議会も20市町村あった。

 「男性中心 意識変革を」 県内議員ら「女性の視点必要」

 県内で「女性ゼロ議会」が多い状況が浮き彫りになった。なぜ女性のなり手が少ないのか。議員らは意識変革の必要性や環境整備の必要性を挙げる。

 「議会には女性が必要」。石川町議の瀬谷京子さん(78)=4期=は強調する。人口減少が進み、子育てや介護など福祉施策の重要性が増す中、「女性の視点を取り入れなければいけない」との思いから議員を志した。それまで女性町議は12年間いなかったが、町議になると女性から町政について質問や要望を受けることが多かった。住民の声を政治に反映させるために女性議員が必要だと改めて感じた。

 本県で女性議員が少ない一因に「地方ほど、男性中心社会の歴史が長かった」と考える。男女問わず、議員のなり手不足が指摘され、議員活動をしやすい環境整備が必要だと考えるが、女性議員を増やすには「男女とも意識を変える必要がある」と指摘する。ただ「いきなり立候補をお願いしても厳しい。地域で活躍する女性向けに勉強会などを開き、関心を持ってもらう機会をつくっておけばよかった。立候補を迷っている人がいるなら『女性が必要だから出て』と伝えたい」と思いを語る。

 桑折町議の羽根田ひとみさん(56)=1期=も「議員は生活者の代表。偏った年代、性別での意思決定では根本的な課題が見えにくい」と多様性のある議会の重要性を指摘する。

 女性が議員になりにくい要因の一つに、仕事や家庭との両立が難しいと感じてしまうことを挙げる。年間スケジュールや会議などを管理して効率的に進めることが必要だと感じている。活動を通じ「『私にもできるかも』とハードルを下げていきたい」と話す。

 一方、男性議員はどうか。女性のいない市町村議会の40代男性議員は「女性の視点を反映させるためにも、女性議員を増やさなければいけない」と話す。女性議員がいない原因に、子育てや仕事などで議員活動に集中できない状況があると分析。議員報酬の少なさなども、なり手不足の一因とみる。「待遇改善や生活に支障が出ないような議会運営が必要。熱意のある個人が立候補できる環境づくりが大切だ」と述べた。

 今回の調査で、県内では女性議員を増やす効果的な取り組みとして「女性の政治参画に関する意識啓発」と回答した議会が50と最多。「社会全体の固定的な役割分担意識、無意識の思い込み除去」「ハラスメント対策」「議員/政党を対象とする男女共同参画に関する研修」が続いた。一方、増やすための取り組みを「実施している」と答えたのは5議会にとどまった。このうち会津若松市議会は欠席事由に出産、介護などを例示し「出席できない期間を出産予定日の8週間前から出産後8週間と規定している」と回答した。