社会で奮闘、女性にエール 山崎静代さんらトークイベントに登場

 
映画「フラガール」の踊りを披露する山崎静代さん(右)、カレイナニ早川さん

 福島県いわき市で12日に開かれた女性の活躍を考えるトークイベント「しなやかに生きる力」では、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山崎静代さんと、常磐音楽舞踊学院最高顧問のカレイナニ早川さんが登場し、映画「フラガール」撮影時の思い出や人生を豊かにする生き方について語った。

 山崎さんはお笑い芸人のほか、「フラガール」で俳優デビューするなどとして幅広く活躍する。早川さんは同映画で松雪泰子さんが演じたダンサー教師のモデルで、山崎さんら出演者にフラを指導した。

 映画撮影時の思い出について山崎さんは、劇中で父親を落盤事故で亡くし涙を流すシーンで、「それまでちゃんとした芝居をしたことがなく、泣く演技が大変だった」と振り返った。

 早川さんは撮影前のフラの指導で、山崎さんが仕事の都合により、ほかの出演者よりも1カ月ほど練習開始が遅れたと明かした。それでも「(山崎さんは)足のステップや振り付けを覚えるのが早かった。プロ根性に驚いた」と当時を懐かしんだ。

 トークテーマの「しなやかに生きる」について、山崎さんはかつて挑戦したボクシングの経験を踏まえ、「力を抜いているようで大事な場面で力を使う。仕事でもそれができるようになりたい」と話した。早川さんは「これまで男性に交じって体当たりで仕事をしてきた。女性らしく柔らかい、人に夢や希望を与える仕事をしたい」と展望を語った。

 トークショー終盤、2人は劇中に出てくるフラの振り付けを披露。最後は社会で日々奮闘する女性に向け、山崎さんが「私も奮闘していきたい。何事も愛がなければできない。パワーをもらったり、渡したりしながら一緒に頑張っていきましょう」と呼びかけた。早川さんは「夢と希望を常に持ってほしい。努力をして初めてかなえられる。太陽に向かって咲くヒマワリのように人生は必ず花が咲く」と力強くエールを送った。

 石山純恵さん 制度使いやすい空気を

 福島での女性の起業は、震災後に国が制度に力を入れたこともあり非常に増えた。出て行った人もいるが、ここで頑張ろうという強固な気持ちができたのも一因かもしれない。一度崖の下まで落ちると上がるしかない。沈んでもはい上がろうという人が福島には多いのだと思う。

 私は新しい物事や流れを見て、「自分だったらこれをやる」という考えで、言語翻訳などの仕事に取り組んできた。気付いたらピンチをチャンスにできていた。

 女性が活躍するための制度自体は確立していると思うが、実際には使えていない。それは空気感のせいで、雰囲気、風土というようなものを変えなければいけない。そのためには団結し声を上げる必要がある。時代の流れに沿って進化していくこと、変わっていくことを恐れないことが「しなやかに生きる」ことだと思う。

 ボンド亜貴さん 挑戦楽しむことが大切

 会津若松市で農薬を使わずにコメを栽培する「アイガモ農法」に取り組んでいる。13代続く農家の末娘に生まれ、大学院を出た後、ポーランドに渡った。東日本大震災をきっかけに地元に戻り、食の安全性を伝えたいと考えた。

 震災と福島第1原発事故後の福島はハンディを背負ってしまった。コメを売るため、東京や大阪へ行ったが全然売れなかった経験がある。正攻法で安全性をアピールしても消費者の気持ちが駄目だと売れない。

 視点を変えようと思い立ち「カレー専用米」を売り出した。消費者は「面白い」と感じた商品を手に取る。前向きな気持ちにならなければアイデアは生まれない。

 新しい分野の開拓や何かに挑戦する時は何事も楽しむことが大切だ。事業は持続させて売り上げにつなげなければならない。嫌々やっていては続かない。

 和田智行さん 起業たたえる風土必要

 福島第1原発事故による避難指示をきっかけに「地域の100の課題から100のビジネスを創出する」を掲げた。若者が魅力だと感じる仕事をと、あえて女性のみの職場としたガラスアクセサリーの工房を設立した。

 地域の人々は、初めは何が始まったのかと遠巻きに見ていたが、次第に工房の存在が認識されてきた。女性が集まって働く風景はまちにいい雰囲気を出せるだろう。人がいないまちで若い女性が働くことの意外性が、地域のインパクトになるのではと思った。

 ものづくりなら時間に縛られない働き方ができるため自由に働けることについての可能性を感じている。

 起業する仲間を誘致しながら育てる取り組みをしているが、どんな小さいことでも気持ちが動いた時に行動する。その挑戦を周りがたたえる風土が必要だ。

 女性活躍の先進地に 森補佐官と石山さん

 女性活躍を考えるトークイベント「しなやかに生きる力」に参加した森雅子首相補佐官(自民、参院福島選挙区)と石山純恵さんは13日、福島民友新聞社の取材に「熱のこもったパネル討論だった。この熱を継続させて、福島県を女性活躍の先進地にしていきたい」と語った。

 森補佐官は「女性活躍と少子化対策はイコール。仕事と子育てが両立できる環境を整えることが重要」と述べ、石山さんは「福島県の中でできることを自分たちで発信していくことが大切だ」と語った。また、森補佐官は昨年12月に開かれた政府主催の国際女性会議「WAW!(ワウ!)2022」を振り返り、5月に国内で開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)で「成果を生かしていきたい」と述べた。