最大3・13倍の「1票の格差」を是正しないまま実施された7月の参院選は憲法違反だとして、沖縄と東京の有権者が選挙無効を求めた二つの訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部は12日、「違憲状態」と判断した。無効請求は棄却した。東京高裁(梅本圭一郎裁判長)は「合憲」とした。16件起こされた同種訴訟で違憲状態は8件目、合憲は5件目となった。
二つの弁護士グループが全国14の高裁・支部に提訴していた。高裁・支部の判決は11月中に出そろい、その後、最高裁が統一判断を示す見通し。
隣接県を一つの選挙区にする「合区」導入以降、今回は格差が最大となっていた。高裁那覇支部の菊地浩明裁判長は判決理由で、議員定数変更を伴う2018年の公選法改正後、国会で格差是正に向け「実質的な検討が進展しているとはおよそ言い難い」と指摘。投票価値の不均衡は「違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態」と問題視した。
一方、合区対象県の投票率低下などの検討課題があり「国会の裁量権の限界を超えるとまでは言えない」と結論付けた。
