「THE MITTEN」(てぶくろ) ―vol.09
立春が近いとはいえ、まだまだ寒い日が続きます。今月は冬に読みたい絵本、ウクライナ民話の『THE MITTEN(てぶくろ)』を紹介します。
おじいさんがこいぬと雪深い森の中を歩いているうちに、片方落としてしまったてぶくろ。そこへ、くいしんぼねずみがやってきて、てぶくろにもぐりこんで暮らし始めます。すると、ぴょんぴょんがえる、はやあしうさぎ、おしゃれぎつね、はいいろおおかみ、きばもちいのしし、のっそりぐまも次々とやってきて、てぶくろに住み始めます。
みんな入口では、 「Who is living in this mitten?」
(だれ、てぶくろに すんでいるのは?) とたずね、
「Let me in, too.」 (わたしも いれて)
とお願いします。動物たちの問答が、同じ英語表現でくり返されるので、自然と子どもの耳にも残ります。
住人がどんどんふえて、最後にのっそりぐまがやってきた時には、てぶくろはすでに満員状態。
「Absolutely not! The house is full!」
(とんでもない。まんいんです)
とみんなに断られますが、無理やり端の方に入って、てぶくろは今にもはじけそうに。森を歩いていたおじいさんがてぶくろを探しに戻ってきますが、てぶくろはどうなってしまうのでしょう。
愛らしい名前の動物たちは、それぞれの個性が引き立つウクライナの民族衣装を身にまとい、魅力たっぷりに登場。また、ページをめくるたびに、てぶくろは高床式になっていたり、玄関や煙突、窓が加えられたり、どんどん変化していきます。部屋の中はどうなっているのだろうと想像をかきたてられます。
小さなてぶくろに入るはずもない動物がどんどん入っていくストーリーを、子どもはワクワクドキドキし、結末がわかっていても何度もくり返し楽しみたくなるのです。
ロシアの絵本作家ラチョフによる、細部までこだわりのあるイラストにも引き込まれ、心はポカポカに。私のお気に入りの動物はおしゃれぎつね。ぜひ、絵本をめくり、ご覧になってください。
ラボ・パーティ講師 佐藤暁子 福島市出身、在住。絵本を通して英語力・社会力・コミュニケーション力を育てる「ラボ・パーティ」(本部・東京)の教室「ラボ佐藤パーティ」を2001年開講。趣味は舞台鑑賞。ラボ国際交流ボランティアリーダー。県内にラボ・パーティは17カ所あります。
2022年2月号・Me&Youより
- 「CHOO CHOO THE STORY OF A LITTLE ENGINE WHO RAN AWAY」(いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう) ―vol.22(最終回)
- 「The Vixen Who Found a Bark Sandal」( わらじをひろったきつね) ―vol.21
- 「GUESS HOW MUCH I LOVE YOU」(どんなにきみがすきだかあててごらん) ―vol.20
- 「Olle's Ski Trip」(ウッレと冬の森) ―vol.19
- JUGEM(じゅげむ)From Rakugo―vol.18
- PETUNIA(がちょうのペチューニア)―vol.17
- MOMOTARO The Boy Born from a Peach(ももたろう)―vol.16
- 「The Story Of The Three Little Pigs」(3びきのコブタ)―vol.15
- 「London Bridge Is Falling Down!」(ロンドン橋が おっこちる!) ―vol.14
- 「Over in the MEADOW」(おおきな のはら) ―vol.13