「Over in the MEADOW」(おおきな のはら) ―vol.13

 
作:ジョン・ラングスタッフ 日本語:さくまゆみこ 絵:フョードル・ロジャンコフスキー 吹込:中村梅雀 ジェフ・ゲダート 音楽:長生淳 ラボ教育センター(ラボ出版)価格:2,530円

 緑の香りが漂う季節にお届けするお話は『Over in the MEADOW(おおきな のはら)』。歌手であり、音楽教育にも熱心だったアメリカ出身のジョン・ラングスタッフが再話した作品です。数え歌をモチーフにしたこの絵本は、次のようなプロローグから始まります。

 Next time you go for a walk in the country, see if you can find some of the animals in this meadow.

(このつぎ、いなかに いくときは、このほんに でてくる どうぶつが、のはらに いるかどうか、さがしてみようね。)
大きな野原にはかわいい動物や虫たちが、母と子で登場します。最初はかめのお母さんと1ぴきのこがめ。

"Dig," said the mother,

(「あなを ほってごらん」と、おかあさん。)

"I dig," said the one;

(「あなを ほるから みててね」と、1ぴきのこがめ。)

So he dug and was glad in the sand in the sun.

(あなを ほったら、すなちは ぽかぽか いいきもち。)

 次はきつねのお母さんと2ひきのこぎつね。その次はこまどりのお母さんと3羽のひな、といったように、1~10の数え歌のようになっています。お母さんは子どもたちに「Run,(はしってごらん)」や、「Sing,(うたってごらん)」などと優しく教え、子どもたちは「みててね」と見守ってほしい気持ちを伝えます。大きな野原という大自然に抱かれ、生きものは母親から生きていくうえで大切なことを教わり、母親の真似をして成長していくのです。

 絵本は色鮮やかなページと茶色を基調としたページが交互にあり、生きものがいきいきと描かれています。中村梅雀氏の語りは、母子のやりとりの温かさを感じさせます。数を数える子どもの手拍子も収録されていて、数え歌としての絵本の特長も表しています。

 天気のいい日に野原に出かけたなら、心が解放されいい気持ちになることでしょう。ぜひ訪れてみてください。

 ラボ・パーティ講師 佐藤暁子 福島市出身、在住。絵本を通して英語力・社会力・コミュニケーション力を育てる「ラボ・パーティ」(本部・東京)の教室「ラボ佐藤パーティ」を2001年開講。趣味は舞台鑑賞。ラボ国際交流ボランティアリーダー。県内にラボ・パーティは17カ所あります。

2022年6月号・Me&Youより