家族でおいしく、アレルギーの子も同じ献立 手軽なレシピ本誕生

 
出版された料理本、写真右は著者の伊藤晶子さん (撮影・伊藤華織)

 料理担当はいわき出身の管理栄養士

 食物アレルギーを持つ子どもの成長を支えるために大切なことを一冊にまとめた「幼児から小学生まで 食物アレルギー栄養しっかりごはん」(女子栄養大学出版部・1980円)が刊行された。不足しがちな栄養素を取るこつやレシピのほか、作り置きや市販品を活用した、楽に続けるアイデアも充実している。料理を担当した、いわき市出身の管理栄養士、伊藤晶子さんに同書の活用法などを聞いた。

 伊藤さんは食物アレルギーに関する料理コンテストに長年携わってきた。その経験を生かし、今回メニューを考案する上で「日常の食事に取り入れやすく、スーパーなどで簡単に手に入るもので手軽に作れることを一番に考えた」と話す。さらに「調理工程も少なく、思い立ったらすぐに作れるもの」との言葉通り、作り置きの食材を活用したものや、魚の水煮缶や大豆加工品、カット野菜など便利な加工品を使ったレシピが並ぶ。

230601life701-1.jpg作り置きの「豚こま肉の酒しょうが漬け」を使って作る「ポークチャップ」(撮影・柿崎真子)


230601life701-2.jpg乳・小麦不使用のカレールーを使った「厚揚げキーマカレー」(撮影・柿崎真子)


 掲載されているのは、家族で同じものが食べられる、アレルギーのない人でもおいしく食べられるメニューばかりで、伊藤さんは「特別じゃない、みんなと一緒に食べられるメニューが作りたかった」と話す。

 子どもの食物アレルギーに関するレシピ本は、患者数が多い乳幼児を対象としたものが多く、小学生以降の子ども向けの情報が少ないという。同書では年齢に合わせた必要な栄養素と食べる量、不足しがちなカルシウムやビタミンDなどを効率よく取る方法などを紹介している。また、当事者親子の体験談や、子ども自身が成長に伴ってアレルギーへの対応をしながら「自分で選んで食べる力」を養う「食育」についても詳しく解説している。

 レシピの他に情報も充実しており、子どもと家族にとって頼れる一冊になりそうだ。伊藤さんは「タイトルは『食物アレルギー』だが、家族みんなが食べられる料理を載せているので、いろいろな方に手に取ってほしい。カルシウムを補うアイデアなどは、年配の方にも役立ちます」と呼びかけた。(佐藤香)

 いとう・あきこ いわき市出身。管理栄養士、料理研究家。高校卒業後、進学のため上京。料理研究家のアシスタントなどで経験を積み、2009年に独立。現在はいわき市で「料理教室FRASCO」を主宰。