興味の的スクラップを 元教諭・鹿野川さんが実践法
新聞を読む子どもは成績が良い―。文部科学省や県教委の調査でも傾向が示された新聞の効果だが、実際の授業や家庭学習にどう取り入れたらいいか分からない―という声が教育現場にある。教壇に長年立って新聞の活用を実践してきたNIE企画デザイナー鹿野川喜代美さん(東京都)にこつを聞いた。(聞き手・編集局次長 小野広司)
―授業に新聞を使いだしたのは、なぜ?
「教員になって、どうしたら学ぶ意欲を引き出せるか考えました。生徒に求めたのが新聞のスクラップ。『やりたい時にやりなさい。取っておきたい記事を切って大学ノートに貼る。写し書きしてもいいし、感想を書いてもいいよ』と。ノートには毎日、目を通してサインしてあげると子どもは喜ぶ。一緒に感想を書くお母さんもいた。すてきでしょ。3年間続けたら成果が出た。高校入試では全員合格して進路が決まった。校長先生も『面接の答え方がすばらしい。今までと全く違う』と認めてくれた」
―生徒の反応は。
「斜に構えていた生徒でも、高校の弁論大会で優勝した時には『先生の言っていた意味が分かった』と言ってくれました」
―授業に新聞をどう使うか、分からない先生が多いと聞きます。
「先生も忙しいので新聞をじっくり深く読む暇がありません。どのタイミングでどう使ったらいいか、難しく感じていると思います。一方で子どもたちは毎晩スマホで目は疲れ、深みにはまっていくようで、恐ろしい。上辺だけの情報は広く浅い。新聞は上質。どんどん読ませるべきです」
―具体的な活用法は。
「例えば記事やコラムに書いてあることを調べさせる。感想を書く。テレビ欄から好きな番組の見どころを書かせて壁に張り出すと、同じ番組が好きな子と理解しあえる。メッセージ広告などを基に小論文を書く。どれもポイントを押さえて書くことが大切ですね」
―保護者にも新聞を活用してほしい。
「新聞を読む子どもは話題が豊富で、テレビニュースの時間に子どもが家族だんらんの主役になる。親も賢くなる。新聞には子どもの興味を引く記事がころがっていて、自分で記事を見つけたら食いつく。『どうして?』『なぜ?』が書いてあるので社会に関心が深まり、学ぶ意欲が湧く。親と子どもの言葉が通じるうちに手間暇掛けて一緒に勉強すれば、底力がつきますよ」
本社で親子新聞教室
福島民友新聞社は、鹿野川喜代美さんを講師に迎えた「夏休み親子新聞教室」を29日(土)と8月19日(土)の2回、福島市の本社で開催します。問い合わせは販売局「まなぶん事務局」(電話024・523・1472、平日午前10時~午後5時)へ。
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