「新聞は実用的な日本語」 盛岡でNIE全国大会開幕

 
「新聞は実用的な日本語を鍛える教材に使える」と述べる斎藤教授

 教育現場で新聞を活用する「NIE」(エヌ・アイ・イー)について情報を交換する第23回NIE全国大会は26日、盛岡市で開幕した。教育と新聞の関係者ら約1600人が27日まで、「新聞と歩む 復興、未来へ」をテーマに、NIEの新たな可能性などを探る。日本新聞協会の主催。

 初日は、ベストセラーの著書「声に出して読みたい日本語」シリーズで知られる明治大文学部の斎藤孝教授が「新聞力と復興」と題して記念講演した。

 斎藤教授は「新聞は意味が共有できなければ困るので、実用的な日本語で書かれている。文学はいろいろな解釈が可能なところが面白く、名文を音読してほしい」と強調。「意味が通じない日本語は自動翻訳機でも翻訳できない。国際人の第一条件は母国語で意味のあることが言えることだ」と述べ、参加者の笑いを誘った。

 また「今の教科書は活字が少なく驚かされる」と警鐘を鳴らした。その上で、月曜日の朝に確保されている読書の時間を、新聞記事を切り抜いて発表する時間に代えることを提唱した。

 座談会も開かれ、1部では岩手県出身の高校生と大学生の2人が東日本大震災の津波から避難した当時の状況などを振り返った。

 2部では教育や新聞の関係者ら4人が登壇。このうち、岩手日報社(岩手県)の鹿糠敏和報道部次長は、津波で犠牲になった県民3471人の追悼記事を紙面に掲載したり、亡くなった人が津波到達までに取った行動をデータベース化するなどの同社の取り組みを紹介。「『命を守ること』が新聞や教育の使命の一つだ。遺訓を未来につなげなければ」と訴えた。