「NIE全国大会」宇都宮で開幕 総括「新聞で対話や深い学び」

 
「新聞を使って、子どもに自分で考えて気付いてもらうことが重要だ」と述べる苅谷さん

 学校の授業など教育現場で新聞を活用するNIE(エヌ・アイ・イー)の普及や先進事例の共有を図る第24回NIE全国大会は1日、宇都宮市で2日間の日程で開幕した。教育や新聞などに関わる約1100人が参加、「深い対話を育むNIE」を大会スローガンに新たな可能性を探っている。日本新聞協会の主催。

 初日は、中学校の教員として独創的な国語教育で知られた故大村はまさんについて、作家で大村はま記念国語教育の会事務局長の苅谷夏子さんが基調講演した。

 苅谷さんは、大村さんが戦後の混乱で教科書が準備できなかった時代に新聞で100種類のオリジナル教材を作って生徒に配布したエピソードを紹介。また、隅田川花火大会の記事を題材に「酔った」「魅了された」「堪能した」「楽しんだ」など、各紙の表現や内容を読み比べる学習を取り入れたことに触れ「着眼点を子どもに教えた。『勉強しなさい』ではなく、自分で考えて気付いてもらうことが重要だ」と呼び掛けた。

 パネル討論も行われ、NIEを実践する栃木県の親子や新聞記者、文部科学省の職員が「主体的・対話的で深い学び」を掲げる新学習指導要領の全面実施を見据えて意見を発表した。

 日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さんは自身の目撃談として、2人の若者がスマートフォンの画面を見ながら「やばい、やばい」と連呼して互いに考えを共有していた場面を挙げ「それは対話なのか」と指摘。その上で「新聞を活用すれば、対話と深い学びを繰り返すことができるのでは」と総括した。