「新聞で読解力育つ」 宮崎でNIE全国大会開幕、吉野氏講演

 
中学、高校生に「漠然と将来を考えるのではなく、2025年、30年、50年の自分を想像してほしい」と語る吉野氏

 学校の授業など教育現場で新聞を活用するNIE(エヌ・アイ・イー)の先進事例などを共有する第27回NIE全国大会は4日、宮崎市で開幕した。教育や新聞の関係者約1100人が「いまを開き 未来を拓(ひら)く NIE」をスローガンに、5日までNIEの新たな可能性を探る。

 日本新聞協会の主催。新型コロナウイルス対策で2020、21年はオンライン実施だったため、3年ぶりの対面開催となった。

 初日は、リチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した吉野彰・旭化成名誉フェローが講演した。吉野氏はノーベル賞受賞までの苦労や研究がもたらす社会の姿などに触れ「サスティナブル(持続可能な)社会の実現に、少なくとも25%は日本の技術が貢献したと言えるようにしたい」と述べた。参加した地元の中学生から困難があっても諦めずに研究を続けられた理由を聞かれ「必ずゴールがあるという信念があれば、どんな困難も乗り越えられる」と語りかけた。

 パネル討論も行われ、宮崎県内のNIE実践校の教諭らが意見を述べた。同協会NIEコーディネーターの関口修司氏は「日常的に新聞を使うことで自然と論理的文章やグラフなどの資料と出合い、読解力が育つ」とNIEの効果を説明。同協会NIEアドバイザーで宮崎西高付属中の木幡佳子指導教諭は、同校で取り組む新聞記事スクラップの効果として「(生徒の記事に対する書き込みが)感想から意見に変わり、自分で次の問いを見つけるようになった」と話した。中学時代に新聞のスクラップをしていたという高村心花(こはな)さん(宮崎西高1年)は「自分の意見を書けるようになり、社会の出来事にいろいろな思いを持てるようになった」と話した。新地辰朗宮崎大理事・副学長、中山隆こゆ地域づくり推進機構・教育イノベーション推進専門官も意見を述べた。

 福島県の4教員参加

 NIE全国大会には、本県の教員4人が参加し、先進的な新聞の活用事例に理解を深めている。

 参加教員次の通り。竹中亜木子(宮小)福地淳一(清水中)難波宏彰(郡山女子大付高)引野さぎり(石川義塾中)