「あららのはたけ」 田舎生活、手紙でお届け

 
偕成社 1540円

 家族3人で、小4の春に祖父(そふ)の住む山口に引っ越(こ)したえり。横浜(よこはま)の同級生エミとの手紙のやりとりを楽しくつづった物語です。

 山口でえりを待っていたのは、祖父の用意した25メートルプールほどの広さがある専用(せんよう)の畑でした。初めての仕事はシロツメクサの草抜(ぬ)き。雨上がりに茎(くき)の外側から抜くのが良いこと、モモの毛虫に刺(さ)された時にはガムテープを貼(は)って細い毛を取ることなど、えりの手紙には畑仕事の知恵(ちえ)が驚(おどろ)きとともに記されていて、都会暮(ぐ)らしのエミを喜(よろこ)ばせるのでした。

 一方、エミの手紙には、2人の幼(おさな)なじみのけんちゃんのことが...。不登校を続けている彼(かれ)と昔のように心を通わせたいと、体当たりでチャレンジする様子が明るく記されています。

 畑仕事を通して自然の不思議さ、強さを学び、人間関係修復(しゅうふく)のヒントを見いだす2人の姿(すがた)に心を打たれます。"あららのはたけ"の意味が分かるころには、希望の光が見えてきます。力強い挿絵(さしえ)も魅力的(みりょくてき)。中学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が 推薦する本を紹介しています