「森の診療所ものがたり~カモの子がやってきた」 巣立つまで生き生きと

 
偕成社 1320円 

 北海道の家畜(かちく)診療所(しんりょうじょ)に勤(つと)める獣(じゅう)医師(いし)、仁科(にしな)源三郎(げんざぶろう)先生は、自宅(じたく)で妻(つま)のマサ子さんと「森の診療所」を開いています。林に近い診療所には、エゾシカの子やユキウサギの子などの野生動物が運び込(こ)まれてきます。5月末の日曜日、小学生3人がカモの赤ちゃんを4羽、川で助けたと連れてきました。"捨(す)てられていた"と主張(しゅちょう)しますが、まだ親鳥がヒナをさがしているかもしれません。川に行き親鳥をさがしますが、すでにその姿(すがた)はなく、院長夫妻(ふさい)が育てることになりました。

 ある日、水浴びをしていたヒナたちがおぼれ、1羽が死んでしまいます。なぜ水鳥がおぼれたのか? 先生が原因(げんいん)を調べると意外なことが分かりました。そこで、ヒナたちが泳ぎを覚えるために考えた方法とは...。

 獣医師である著者(ちょしゃ)が、マサ子さんの後を追うヒナの様子や、小学生3人の活躍(かつやく)なども絡(から)めて、巣立つまでを生き生きと描(えが)きます。優(やさ)しい挿絵(さしえ)も楽しめる一冊(いっさつ)。高学年から。