「ねこと王さま」 ねこ 字を書き運転する

 
徳間書店 1760円

 ある立派(りっぱ)なお城に、王さまと、王さまの一番の友だちのねこが、12人の召(め)し使いと暮(く)らしていました。ところがある日、火を吹(ふ)くドラゴンにお城を焼かれてしまいます。召し使いはお城を去り、王さまは、ねこと町で暮らすことにしました。

 ねこは人間の言葉を話すことはできませんが、とても賢(かしこ)くて美しい字を書き、車の運転もできます。何より王さまが気持ちよく暮らしていけるよう、いつも考えていました。

 王さまは、かんむりをかぶる、テープカットをするなどの"王さまの仕事"以外、何もできません。でも、町に買い物に行くため並(なら)んでバスに乗ったり、子どものいる隣(となり)の家族とお付き合いするうちに、王さまはだんだん変わっていきました。ところが火を吹くドラゴンが、またやってきて...!

 作者が描(えが)くユーモラスな挿絵(さしえ)は、このお話にぴったり。読んで温(あたた)かな気持ちになる楽しいお話です。中学年から。