「魔法のたいこと金の針」 金の針がつむぐ魔法

 
あかね書房 1320円

 冬のある日、平井洋裁(ようさい)店(てん)の前にたいこのバチが落ちていました。その夜、バチを取りにきたのは鬼(おに)の子こたろうでした。

 次の日もこたろうがやってきて、春を知らせるたいこの練習で穴(あな)をあけてしまったので、直してほしいと言うのです。平井さんはたいこを直したことがありません。でも、こたろうが差し出した家宝(かほう)の金の針(はり)で縫(ぬ)い合わせると、いつのまにか縫い目が消えているではありませんか。それは、腕(うで)のいい人にだけ魔法(まほう)がはたらく針でした。それからというもの、こたろうはたびたびやってくるようになり、やがて春をむかえ...。(「春のたいこ」より)

 金の針を預(あず)かることになった平井さんのところには、妖精(ようせい)の女王の空飛ぶマントや、コブシの「にこ毛」のショールなど不思議な依頼(いらい)がまいこむようになりました。次の冬、ちょっと大人になったこたろうがやってきて...。

 季節とともにめぐる6話の心温(あたた)まる不思議なファンタジー。挿絵(さしえ)も優(やさ)しい。中学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています