「雷のあとに」 楽しみはおじさんの家

 
文研出版 1540円

 小学5年生の睦子(むつこ)は、3歳(さい)上の兄と仲睦まじく育つようにと付けられた自分の名前が気に入らない。母親は、いつも家中をきれいにし、体に良い食べ物を作ってくれるが、些細(ささい)なことですぐに落ち込(こ)んでしまう。どんよりする母に睦子は息が詰(つ)まりそうになる。

 学校では、仲良しの咲(さき)ちゃんが転校生の茉莉香(まりか)と親しくなり、睦子は遊びに誘(さそ)われなくなった。

 そんな睦子の楽しみは、近くに住むハルおじさんの家に行くことだった。1人暮(ぐ)らしのおじさんは、母親のお兄さんで建築士(けんちくし)。睦子は、おじさんの住宅模型(じゅうたくもけい)作りを眺(なが)めたり、本を読んだりして過(す)ごしていた。

 睦子が行くようになると、冷蔵庫(れいぞうこ)にはプリンやアイスクリームが入れてあるようになった。居心地(いごこち)のいいおじさんの家に通う睦子だが、ある日...。

 お互(たが)いを大切に思いながらすれ違(ちが)ってしまう家族や友だち。少しずつお互いの思いに気付いていく様子が、一人一人の心に寄(よ)り添(そ)うように描(えが)かれた物語。小学校高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています