「すずめのまる」 スズメの世界生き抜く

 
アリス館 1650円

 屋根の上でスズメの両親が、子どもたちを呼(よ)んでいます。元気なスズメの女の子、まるちゃんも巣立(すだ)ちの時です。足を踏(ふ)ん張(ば)り、いち、にの、さん、えい! ジャンプ! でも、あれれ!? 落っこちた。かっこ悪い。まるは、練習して上手に飛べるようになったある日、家族と別れ、広い空へと飛び出して行きました。

 新しい仲間と出会い、夜は街路樹(がいろじゅ)で眠(ねむ)り、秋は草の種や実をたくさん食べ、冬の厳(きび)しい寒さに耐(た)え、春を迎(むか)えたまるちゃん。男の子のスズメ、てんと出会います。そして新しい家族が誕生(たんじょう)しました。

 私(わたし)たちの一番身近にいる野生の鳥、スズメがどんな生活をしているのか、意外と知られていません。巣立ちから大人になるまでのスズメの一年を、図鑑(ずかん)のような精密(せいみつ)なスズメの絵と、まるちゃんの優(やさ)しい語り口調の文章で丁寧(ていねい)に描(えが)いています。けっこう厳しいスズメの世界で、前向きに頑張(がんば)って生き抜(ぬ)くまるちゃんを応援(おうえん)したくなる絵本です。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています