「雨女とホームラン」 占いやジンクス、本物か

 
静山社 1430円

 小学6年生の和馬と竜広(たつひろ)は少年野球チームに所属(しょぞく)している。去年は一回戦で負けたので、今年こそはとがんばっているが、練習試合で負けてしまった。

 「あのおばさんが来ると、必ず負けるんだ」と、占(うらな)いやジンクスを気にする竜広が言い出した。いつも応援(おうえん)に来るおばさんのことだ。そんなことは関係ないと、和馬は練習量を増(ふ)やすが、負けおばさんが来た次の試合もまた負けた。最初は信じていなかった他のメンバーも、もう茶化(ちゃか)すことはなかった。大会までになんとかしないと!

 ある日和馬は、中学生の兄から「マイナス×(かける)マイナスはプラスになる」と聞く。そんなとき、サッカーの応援に来る負けおじさんのことを耳にした...。

 占いや人の言うことを信じすぎ、振(ふ)り回されてしまうことはありませんか。担任(たんにん)の小山先生の「『これは本物なのか』と常(つね)に考え続けられる人間でいてください」という言葉が心に残る。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています