「キャラメル色のわたし」 けなげに生きる米の少女

 
すずき出版 1760円

 米国に住むイザベラ(愛称(あいしょう)イジー)は弁護士(べんごし)で黒人のパパと白人のママの間に生まれた11歳(さい)の女の子。キャラメル色の肌(はだ)のイジーは両親に愛され、幸せな日々を送っていた。

 ところが8歳の時に両親が離婚(りこん)し、イジーは1週間ごとにパパの家とママの家を行き来しなければならなくなった。毎週日曜日に"引き渡(わた)し"されるイジーは、やがて自分の居場所(いばしょ)がどこなのか分からなくなっていく。

 そんな中でも、学校では友達と充実(じゅうじつ)した毎日を送り、ピアノが得意(とくい)なイジーは、発表会に向けて熱心に練習を重ねていた。そして楽しみにしていた発表会当日、イジーは恐(おそ)ろしい事件(じけん)に巻(ま)き込(こ)まれてしまう。肌が黒いというだけで理不尽(りふじん)な扱(あつか)いを受ける現実(げんじつ)をイジーは思い知らされるのだった。

 米国に根強く残る人種差別の現状(げんじょう)と、大人の都合に振(ふ)り回されながらも現実を受け入れ、けなげに生きるイジーの姿(すがた)が丁寧(ていねい)に描(えが)かれている。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています