「そらいろのてがみ」 季節の変化感じる女の子

 
岩崎書店 1540円

 ゆきちゃんは、小さな女の子です。ある日、ゆきちゃんの家のポストに、1通の手紙が届(とど)きました。空色の封筒(ふうとう)に空色の便せん。そこにはたった1行「もうすぐ はるがきます」と書いてありました。はるって、いったい? と、ゆきちゃんは思いました。

 その時、さらさらと風が吹(ふ)くと、かいだことのある匂(にお)いがしました。乾(かわ)いた砂(すな)の匂い、ちょっと甘(あま)い、いい匂い。ゆきちゃんは、うれしくなって走りました。薄(うす)いピンク色のもやの中、これが春かと思いました。

 それからも空色の手紙は届きました。夏が来る時も、秋が来る時も...。秋が深まりちょっと寂(さび)しくなったゆきちゃんは、初めて返事を書きます。「あきさん、もういちどだけ なつになってくれないかしら」と...。季節の変化を全身で感じているゆきちゃん。そして、冬と一緒(いっしょ)にやって来たのは...。

 柔(やわ)らかなタッチと淡(あわ)い色使いで描(えが)かれた優(やさ)しさあふれる絵本です。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています