「ジョナスのかさ」 雨嫌い風変わりな紳士

 
光村教育図書 1650円

 雨が降(ふ)れば傘(かさ)を差す。それは今では当然のこと。でも、1750年ごろまでのロンドンでは違(ちが)っていた。雨が降れば家から出ない、馬車を使う、それともぬれるにまかせるか。

 ところが、雨にぬれることが大嫌(きら)いなジョナス・ハンウェイには、それが気に入らない。とうとう彼(かれ)は、雨の降らない地を目指して世界へ旅に出た。たどり着いたのはペルシャ。そこで彼は初めて傘というものを見る。奇妙(きみょう)きてれつ、びっくり仰天(ぎょうてん)! 早速ロンドンに持ち帰り、ある日雨が降りだすと、傘を差して外へ飛び出した。

 「ほらほら、おおばかもののジョナス・ハンウェイだ」と人々。それでもジョナスはへこたれない。30年も傘を差し続け、やがて...。

 イギリスの傘の歴史(れきし)が、英国紳士(しんし)ジョナス・ハンウェイの奇妙な行動を通して語られる。1750年当時のロンドンの街や人々の暮(く)らしが、生活感あふれる絵の中に垣間(かいま)見られるのも楽しい。低学年から幅(はば)広く。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています