「チェリーシュリンプ わたしは、わたし」 揺れ動く10代の少女の心

 
金の星社 1540円

 「チェリーシュリンプ、水槽(すいそう)の中で飛ぶように泳ぐ真っ赤なエビたち。小さくてか弱そうだけどたくましい。どこかわたしと似(に)ている...」。韓国(かんこく)の中学2年生ダヒョンのブログだ。他の子の反応(はんのう)が気になり非公開(ひこうかい)にしている。

 新学期、ダヒョンはウンユの隣(となり)の席になる。ウンユはダヒョンたち仲良し5人組の中で嫌(きら)われていて、口をきかないのが暗黙(あんもく)の約束だ。課題のグループも一緒(いっしょ)になってしまい、早速集まることになった。どうしたらいいの...。みんなは行かなくていいと言う。でも何度か集まるうちに、なぜウンユを嫌うのか分からなくなり、他のみんなの態度(たいど)に居心地(いごこち)の悪さを感じるようになる。

 10代の少女たちにとって友達の世界はとても大切。「わたしはわたし」と思えるようになるまでの揺(ゆ)れ動く少女の心情(しんじょう)がテンポよく描(えが)かれている。韓国の中学生の日常(にちじょう)や進学事情(じじょう)も見えてくる。自分を見つめ直すきっかけになる一冊(いっさつ)。中学生から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています