「ヴォドニークの水の館」 魔物との約束守れるか

 
BL出版 1760円

 むかし、川ぞいの村にとても貧(まず)しい家がありました。母親と子どもたちは、食べるものにも困(こま)るありさまでした。

 ある日、一番上の娘(むすめ)はひもじさのあまり家を飛び出し、泣きながら岸辺を歩いていました。泣き声に目を覚ました水の世界の魔物(まもの)ヴォドニークは、娘をさらって連れ帰りました。

 ヴォドニークの館でおいしい食事をもらった娘は、召(め)し使いとして館の掃除(そうじ)や火の番をして働くことになりました。ただし、広間に並(なら)んだつぼの中は決して見ないこと、もし開けたときはただではおかない、と約束させられます。ところがある日、川でおぼれ死んだ弟の声がつぼの中から聞こえてきて...。

 日本の河童(かっぱ)を連想させる緑色の体のヴォドニーク、水底の世界の青色、色とりどりのつぼなど、美しい色合いの絵がチェコの昔話をひきたてます。"約束"にまつわる昔話は日本にもたくさんあるので、チェコの昔話と読み比(くら)べてみると楽しいですよ。

 ※福島子どもの本をひろめる会が 推薦する本を紹介しています