「きみのいた森で」 消えた友人、絡み合う謎

 
評論社 1760円

 スチューイと祖父(そふ)と母が住む古い大きな屋敷(やしき)の向こうには、深い森が広がる。森は昔、ゴルフ場だった。経営者(けいえいしゃ)のスチューイのひいおじいさんが行方(ゆくえ)不明になり、ゴルフ場は人手に渡(わた)ったのだと語っていた祖父は、秘密(ひみつ)の書を残し嵐(あらし)の日に亡(な)くなってしまった。

 森を巨大(きょだい)なショッピングモールにする計画が持ちあがる。スチューイの9歳(さい)の誕生日(たんじょうび)前日、母の参加する"森を守る会"のパーティーで、同い年で同じ誕生日の女の子エリーと出会い仲良くなった。ある日、森のお気に入りの場所で二人で話をしていると、突然(とつぜん)エリーの体がぼやけ、消えてしまった。驚(おどろ)いたスチューイはエリーを探(さが)し回るが...。

 家族の過去(かこ)の因縁(いんねん)、祖父の秘密の書、不思議な森などさまざまな謎(なぞ)が絡(から)み合うファンタジーミステリー。結末も大いに気になるが、美しく謎めいた森の描写(びょうしゃ)には心奪(うば)われる。2019年米ミステリー作家協会エドガー賞(しょう)(児童書部門)受賞作品。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています