「カブトムシの音がきこえる」 幼虫たちの驚きの生態

 
福音館書店 1430円

 昆虫(こんちゅう)の中でも高い人気のカブトムシ。りっぱな角をもつ成虫のオスは、名前の由来通り戦国武将(ぶしょう)などの兜(かぶと)にそっくりです。ところが、わずか1年の一生のうち、この姿(すがた)でいるのは1カ月ほど! 成虫になるまでの約11カ月間は土の中で暮(く)らしているのです。

 7月末の蒸(む)し暑い夜、カブトムシのメスが、公園の"落ち葉だめ"(腐葉土(ふようど)を作るために落ち葉を積み上げた場所)の下に卵(たまご)を産みました。小さな米粒(こめつぶ)のような卵は2週間ほどで「ふ化」し幼虫(ようちゅう)になると、腐葉土などを食べて脱皮(だっぴ)を繰(く)り返し、3カ月ほどで体重は500~800倍にもなります。

 そして幼虫は集まり、蛹(さなぎ)になって過(す)ごす部屋「蛹室(ようしつ)」をそれぞれ作ります。幼虫はなぜ集まるのでしょう? 蛹室の中で蛹が身を守るためにとる意外な行動とは?

 最近さまざまな研究が進み、多くの謎(なぞ)が解(と)き明かされてきました。カブトムシの驚(おどろ)きの生態(せいたい)が親しみのあるイラストで分かりやすく描(か)かれた科学絵本です。中学年から。

※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています