「わたし、パリにいったの」 幼い仲良し姉妹の物語

 
のら書店 1540円

 おねえちゃんのはなちゃんは、小さい時にパリに行ったことがあります。今もその時の写真を見るのが大好きです。妹のめめちゃんといっしょに何回見たことでしょう。

 パリ生まれのぬいぐるみのくーちゃんを抱(だ)きしめた写真を見て、「くーちゃんはお店のウインドウにいて、ぼくを連れてってと言ってるみたいだったの」と。ハンカチを拾ってあげたお姉さんに撮(と)ってもらった教会の前の写真では、「ハンカチ、バラのいい匂(にお)いがしてた」と、めめちゃんもまるで見ていたかのように話します。何度も聞いて覚えたのかもしれません。すると、「わたしも行ってたから知ってるの」と言うのです。でも、めめちゃんはおかあさんのお腹(なか)の中にいて、まだ生まれていないのでした...。

 幼(おさな)い仲良し姉妹のほほえましい会話で進んでいく幼年(ようねん)童話。優(やさ)しい色遣(づか)いと軽やかなタッチの絵が、なお一層(いっそう)お話の世界を引き立たせてくれます。低学年から。

※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています