「雪虫」 世代を繋ぐ命のリレー

 
福音館書店 1430円

 冬が近づくと、体長4ミリ程度(ていど)の白い綿毛(わたげ)をまとった虫が、まるで雪が降(ふ)るようにふわりふわりと飛んでいる姿(すがた)を見たことがありませんか? 「雪虫(ゆきむし)」「綿虫(わたむし)」など地域(ちいき)によって呼(よ)び名は変わりますが、北海道から本州で見られる虫です。

 正式名称(めいしょう)は「トドノネオオワタムシ」というアブラムシの仲間。特に、北海道では雪が降り始める前に大量に飛び、冬の訪(おとず)れを知らせる虫として親しまれています。実はこの虫の生態(せいたい)が面白い!

 春に卵(たまご)から生まれた1匹(ぴき)が成長して雪虫の姿になるのではなく、卵から生まれ次の卵を産むまで世代交代を6、7回も繰(く)り返し、姿も住む場所も食べ物も変えながら生き繋(つな)いでいきます。雪虫はその中の一つの世代の姿なのです。

 メス単体でたくさんの子どもを産む、オスが登場するのが1度のみ、翅(はね)を持つ時は2回だけなど...驚(おどろ)くことばかりです。1年間にわたり、雪虫の世代を繋ぐ命のリレーを追いかけた写真絵本。ようこそ雪虫の世界へ!

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています