「町にきたヘラジカ」 アメリカの実話がもと

 
徳間書店 1980円

 アメリカ北部の小さい町ビロラで暮(く)らす、仲良しの男の子イパールとワイノ。ある冬の日、2人はイパールの父さんの馬屋で一頭の大きなヘラジカを見つけます。今年は寒さが厳(きび)しく、森に食べ物がなくなり、お腹(なか)を空かせて馬屋のま草(ぐさ)にありついていたのでした。

 おどろいた2人は、馬屋から追い出そうとしますが、悲しげに「ボォーン!」と鳴いて草を食べ続け、そのまま眠(ねむ)ってしまいます。やせこけたヘラジカをかわいそうに思い始めますが、このまま大量のま草を食べ続けられたら、ばく大なお金がかかってしまうのです。困(こま)り果てた2人とイパールの父さんは...。

 アメリカの町で起きた実話をもとにした物語。ヘラジカになつかれてしまうイパールとワイノの困惑(こんわく)する様子が、温かくユーモアたっぷりに描(えが)かれています。イパールの父さんのフィンランドなまりの言葉が東北の言葉に似(に)ていて、くすっと笑えます。挿絵(さしえ)もほのぼのとして愛らしい一冊(いっさつ)。中学生から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています