「ぼくの弱虫をなおすには」 「こわいもの」克服作戦

 
徳間書店 1760円

 弱虫のゲイブリエルは新学期になれば5年生。親友の女の子、黒人のフリータは進級を楽しみにしているが、彼(かれ)は気が重い。5年生になると、意地悪で乱暴(らんぼう)な上級生と校舎(こうしゃ)が同じになるからだ。だから、ずっと4年生のままでいようと決めたのだが、活発で元気なフリータは「頑張(がんば)って強くなり一緒(いっしょ)に進級しよう。お互(たが)いにこわいものリストを作って、協力して克服(こくふく)していこう」と彼を激励(げきれい)する。

 ゲイブリエルのこわいものリストは「進級、上級生、クモ、フリータのお兄ちゃん~」など38個(こ)にも。フリータはさっそく行動を開始し、まずはクモをペットにすればかわいく思えるはずと、クモを捕(つか)まえてくるのだった。

 2人の克服作戦は強烈(きょうれつ)で、驚(おどろ)いたり笑ったりしながら応援(おうえん)したくなる展開(てんかい)だ。さらに貧困格差(ひんこんかくさ)や人種差別の問題も盛(も)り込(こ)まれ、対する大人たちの勇気ある姿(すがた)は感動的。ユーモアにあふれ、楽しく読みながらも"問題を知る"ことができる一冊(いっさつ)だ。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています