「ミシシッピ冒険記」 壊れた時計とシカゴへ

 
岩崎書店 1870円

 舞台(ぶたい)は1904年のアメリカ。この頃(ころ)、たくさんの商品を掲載(けいさい)したカタログで商品を売る、カタログ販売(はんばい)が盛(さか)んだった。南部のミシシッピ川の河口(かこう)地帯に住む4人の少年少女は、沼(ぬま)で拾った3ドルであこがれの銃(じゅう)をカタログ注文する。ところが届(とど)いたのは壊(こわ)れた懐中(かいちゅう)時計だった。

 がっかりする4人にシカゴのカタログ販売会社の社員と名乗る男が訪(たず)ねて来て、時計を50ドルで買い戻(もど)したいと言い出す。ここから物語は急展開(きゅうてんかい)。4人は、謎(なぞ)の時計を持ってシカゴのカタログ販売本社へと向かう。2千キロの大冒険(だいぼうけん)!どんな困難(こんなん)が待ち受けるのか...。

 この物語は、4人が1章ごとに自分の視点(してん)で冒険記(ぼうけんき)を語るという設定(せってい)で進んでいく。当時の子どもの扱(あつか)われ方、差別、貧困(ひんこん)など子どもの目を通して描(えが)かれている点は興味深(きょうみぶか)い。1900年代初頭へとタイムスリップしたような商品カタログや新聞記事、地図のきめ細かい挿絵(さしえ)は、物語と一体になって、ワクワクドキドキの冒険記を一層(いっそう)楽しいものにしている。(畑)

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています