「ちからもちのおかね 女の子の昔話えほん 日本のおはなし」 女の子の活躍に爽快感

 
偕成社 1870円

 土佐に伝わる、力持ちの女の子の昔話。土佐(高知)の岩井という山の中に住む女の子おかねは、たった3歳(さい)だが大した力持ち。巨大(きょだい)な臼(うす)を持ち上げ、大きな相撲(すもう)取りを驚(おどろ)かせ退散(たいさん)させたほどだ。

 たくあん片手(かたて)にどんぶり飯を何杯(ばい)も食べすくすく大きくなって、やがて働き者の娘(むすめ)になった。ある時は、殿(との)様の前で米俵(だわら)をいっぱい積んだ大きな牛を持ち上げ、「てんかごめん」の許(ゆる)しをもらう。その上鉄砲(てっぽう)も上手で、うでききの猟師(りょうし)になり、不思議な霊力(れいりょく)も発揮(はっき)して、天狗(てんぐ)や化物を退治(たいじ)する大活躍(かつやく)。

 女性(じょせい)のやさしさや美しさが語られることの多い昔話の中で、力や知恵(ちえ)が称賛(しょうさん)されるお話は数少なく貴重(きちょう)だ。スカッとした爽快(そうかい)感をもたらしてくれる。昔話らしい、てらいのない素朴(そぼく)な絵も本書の魅力(みりょく)だ。

 同シリーズの「わたしがテピンギー」というハイチのお話も、女の子の機知と友情(ゆうじょう)が愉快(ゆかい)で胸(むね)がすく。これもお薦(すす)めです。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています